昨今、Treasure Data CDPはデータ収集だけでなく、その活用方法は多岐に広がっていっております。その活用事例の1つとして、セプテーニ社のPrecogというソリューションについてご紹介させて頂きます。
Precogとは
セプテーニ社が開発したPrecogは、AI(機械学習)を活用したソリューションであり、Webサイト上のアクセスログやApp行動データ、顧客1st party data、その他3rd party dataなどから予測モデルを構築して、算出した予測スコアを主要広告媒体と連携することで、予測スコアで重みづけされた入札反映や、各ユーザーに合わせたリターゲティング広告の配信、より質の高いオーディエンス拡張配信など、広告配信をより効果的に行うことができるソリューションです。
Treasure Data CDP導入の背景
近年、プライバシー保護の強化に伴う影響により、ブラウザやデバイスから取得できる情報量が減少しつつあり、データを元に最適化されていた運用型広告のパフォーマンス低下が懸念されております。特定デバイスに関してシェアが高い日本では、プラットフォーマーの動向に大きく影響されると思われますが、早晩、このようなユーザーデータの取得に関して、媒体側が利用できる範囲が狭くなると考えられます。そのため、早めにその対策を検討していく必要がありますが、セプテーニ社は、今後データ利用が制限された際、サーバー同士のデータ連携を如何にスムーズに行うかが重要になってくると考えており、それがTreasure Data CDP導入の大きな要因となっております。
各社あるいは各サービスにて管理するサーバー間のデータ連携を行うためには、各サービスなどで提供されているAPIを活用してデータのやり取りを行うプログラムを開発する必要があります。特に一般利用向けに公開されているAPIは、定期的に仕様変更やセキュリティー強化を目的としてアップデートされるため、その都度、データ連携プログラムの改修が発生します。また、広告媒体へデータ連携を行う際は、数日内に取得したデータを連携するよう推奨している場合もあり、最適な広告配信のためには決められた期限内にデータを連携する必要が出てきます。
このようなハードルを超えるためには、インフラ構築や開発に対してスピード感を持って進める必要があり、エンジニアリソースの確保が重要な要素となってきます。これらの課題の中でデータ基盤としてのプラットフォーム運用、サーバー間のデータ連携を行うためのAPIや連携プログラムの開発、あるいはAPI仕様変更に伴う保守などの工数軽減や作業期間の短縮に関して、Treasure Data CDPが大きく貢献していると考えています。
アーキテクチャーの特徴
独自の機械学習システムとTreasure Data CDPを組み合わせて構築されているPrecogは、データ統合からマーケティング施策実行までをトータルで提供するソリューションです。Precogは、算出した予測スコアを用いることで、任意のKPIに対する媒体側の広告パフォーマンスを最大化することができるアーキテクチャーです。このソリューションの大きな特徴は、KPIに応じた予測対象に対してのモデルを構築する際、数十通りのアルゴリズムを試行して、予測テーマに沿った適切な指標を適用して評価することにより、最も精度が高いモデルを採用することができる点です。
Precog活用の成功事例
具体的にPrecogをコスメ系ECサービスの広告配信に活用した事例について説明します。多くのEC企業では、新規での顧客獲得のためにサンプルやトライアル商品の提供などキャンペーンなどを行うケースがありますが、実際に利益を上げるためには、2回目以降の購入率を上げる必要があります。例えば、初回の販売で利益がなかったとしても次に商品を購入してもらえれば、その後のリピート率も上がる傾向にあり、2回目の購入が増えれば売上も伸ばすことができる確率が高い傾向にあります。
このケースでは、2回目の購入率を上げるため、Precogによって2回目購入確率を予測するモデルを生成し、それを活用して配信を行った場合と通常の類似配信を用いた場合で、その効果の比較を行っています。その結果、通常の類似配信に比べて、Precogを利用した配信は、「CPA:27%抑制」「CPO:53%抑制」「転換率:131%改善」となり、大幅に広告費用を抑えて顧客の獲得に成功しています。
参考:
CPA:コンバージョン1件を獲得するのに掛かったコスト
CPO:注文1件に掛かるコスト
転換率:続けて購入した顧客の割合(リピート率)
PrecogとTreasure Data CDPの評価
前述の通り、Treasure Data CDPを起点とし、データ統合からマーケティング施策の実行までを総合的に提供するソリューションであるPrecogは、データ活用を行う際のデータ分析/可視化、データ基盤構築、機械学習などのスキルがなくても、ノウハウを含め、一手に担うことが可能という点が大きな特徴です。特に機械学習を行う際のデータ整形やクレンジング、多数のアルゴリズムを用いた予測モデルの試行錯誤、予測テーマに合った適切な指標によるモデル評価など、通常のエンジニアでは難しいデータサイエンスに基づいた対応をソリューションの中で実施することができるという点は秀逸だと感じています。
セプテーニ社のご担当者様からは、Treasure Data CDPを活用する上での利点について、下記のようなコメントを頂いており、セプテーニ社で事業を推進する上でトレジャーデータのサービスは欠かせないものになっていると思っています。
ご担当者様からのコメント:
「データを一元的に管理できることはもちろん、利用企業が多いことによるTDIDを介したデータ統合のしやすさ、各種広告媒体・マーケティングツールとのコネクタが充実しており、連携が容易であることが大きな利点になっています。また、何よりサポートが手厚く、スピーディーな対応をしていただけることが魅力です。」
まとめ
現在、Treasure Data CDPは様々な目的でご利用頂いておりますが、その中には、人工知能など先進的な技術を利用して成果を上げたいと考えていても、データを高度なレベルで利用するために必要な人材や技術力が不足していると悩んでいる方もいるのではないでしょうか。セプテーニ社のPrecogは、このような課題に対するソリューションとなり得ますし、Treasure Data CDPとの相性も非常に良いので、ご興味のある方は、是非ご検討頂ければと思います。