カスタマーコンサルティングチームの坂本 登です。
私が昨年にトレジャーデータ株式会社に入社して約1年が経とうとしておりますが、この1年間で様々なクライアント様と向き合い、また様々なユースケースのサポートを実施してきました。その取り組みの中で、改めて弊社のサービスであるCDPは、顧客理解及び活用の観点において、お客様の課題を解決する優れたツールであると実感しております。
これまでブログの前段で述べた通り、Treasure Data CDPは、あらゆるチャネルより多種多様なデータを収集、統合し、それらを分析や活用のために出力することに優れたツールであると、改めて顧客データの利活用のために使用していただきたいと思っております。
しかしながら、データの利活用を推進するために、数々のお客様と接するなかで非常に感じているところとしては、「組織の壁」です。「組織の壁」があることによって、本来CDPの持ち味である各種データソースの顧客データの統合や、様々なツールとの連携活用をしたいけれど、することができない、という状況を良く耳にします。
もちろん、全社でのCDPの導入によりトップダウンマネジメントによって、またデータ活用専門の部署を作ることで、その「組織の壁」を取り、活用を推進するという方法もあります。一方で、既存のある1つの部署でCDPを導入した場合、「組織の壁」取り払い、他の部署と連携、協力をしていくことは困難が伴うかと思います。その場合、小さな成功を繰り返し、結果を社内に共有、その上で他組織との協力を仰ぎ、「組織の壁」を崩すという方法があります。今回のブログでは、これまでのブログのユースケースの例を振り返りながら、小さな成功(QuickWin)の一例について言及したいと思います。
指標の可視化におけるQuickWin
KPI等の指標の定義やその考え方については、時系列・セグメントごとのKPI設計の考え方というブログにて、ソーシャルゲームを例にその切り口や考え方について記載いたしました。
また、CDPにおける可視化のユースケースについては、統合した顧客データを用いた指標の可視化活用事例というブログにて、
- 顧客のオンライン行動を顧客カルテのような形で可視化し、営業業支援の事例に使う事例
- オンオフ行動を統合した顧客データを用いたWeb広告指標の可視化の事例
を紹介しました。このような事例においては、複数の部署が所有するデータをCDP内で収集 / 統合できた場合に実現しうる事例かと思います。一方で、実際には、各部署でデータを所有している場合が多く、他部署のデータを使用できない場合もあることが想定されます。
例えば、営業の部署は営業関連のデータしか扱えない、またWeb広告を扱っているデジタルマーケティングの部署はウェブ行動データしか扱えない、そのため、顧客データを統合し、指標を可視化することができない、などです。こういった場合、アドホックでデータを統合/集計し、分析をするなどがありうるかと考えます。例えば、手動、または一時的にデータを他部署から借りて(もちろんこちらも交渉が必要ですが)、任意のデータ及びキーによって紐づけて、集計を実施。
そして、仮に他部署の施策(広告の予算配分、もしくは営業でのオンラインデータの共有、など)をした際には、広告コストの最適化や、これまで見れなかった情報を営業担当が見ることができる、などで、統合による効果や活用事例のイメージを具体的に沸かせることで、より頻度の高い、また定時でのデータ連携及びその可視化の連携の検討が可能になると考えます。
仮にそういった他部署とのデータ連携及び統合、そしてその可視化の検討が進んだ場合は、CDPを使用したダッシュボード構築におけるプロジェクトマネジメントのポイントの記事もご参照ください。
顧客データの活用におけるQuickWIn
顧客データの活用のQuickWinについても一例をご紹介をいたします。CDPを用いた顧客データの活用においては、複数のデータソースを用いてデータ統合し、それをベースにCRMとして管理した顧客データをセグメンテーションして、各配信ツールを用いて活用をする場合が多いかと思います。
以前のブログでは、統合データを用いたCRMの考え方の一例について紹介しましたが、先ほどの指標可視化の例同様に、この場合においても複数のデータソースを使っているため、複数の部署との連携が想定されるため、導入した自部署でのQuickWinが重要だと思います。
今回のような顧客データの活用のQuickWinにおいては
-
自部署で取れる
- 顧客データを元に任意で顧客セグメンテーション
- 所有する配信ツールで配信
を実施することで、自部署のKPIの向上などのユースケースから結果を生み出すところまで、作っていくことが重要だと考えられます。そういった実績を作っていくことにより、部署間の連携を仰ぐような動きを作っていくと更なるデータ連携/統合及び活用が進んでいくかと思います。
単一ソースによる具体的な事例としては、
- 例1)ウェブ広告を管轄する部署の例:自社のHPでTD Cookie経由で取得したウェブデータを行動属性に基づきセグメンテーション、またPredictiveScoringなどのツールを用いて、機械学習によりスコアリングすることで、CVに近しい顧客を算出、その顧客に対し、広告配信することによる広告関連KPIを向上を検討
- 例2)顧客へのメール配信を管轄する部署の例:各メールのコンテンツ/頻度/開封などに基づき、顧客をセグメンテーションし、MAツール等で配信を実施。適切なセグメントに対する配信によるKPI向上を検討。
などは検討としてありうると考えられます。
まとめ: CDPのユースケースにおけるQuickWin
今回のブログでは、これまで私が掲載したブログの振り返りと共に、弊社にてお客様の支援をしてきた中で、感じた「組織の壁」や、それを崩す・他部署の協力を得るためQuieckWinの重要性と具体例についてお話しいたしました。具体的な成果の作り方として考えている点は以下のとおりです。
- アドホック及び一時的にデータ連携をし、集計/分析することで、データ統合後の協力を得たい部署での活用や効果のイメージ具体的に共有する
- 単一のデータソースでできる顧客セグメンテーションにより、活用し、早期に実績を作り上げる
ぜひご参照ください。