カスタマーオンボーディングチームの竹内和樹です。
今回はカスタマーエクスペリエンスの領域の特に計測方法について、定量的に計測する事、計測した結果を解釈する事を解説致します。
カスタマーエクスペリエンスとは
カスタマーエクスペリエンス(以降CX)とは、該当の商品やサービスを取り巻く一連の体験から顧客が感じた価値(=満足度)の総量の事を指します。CXの向上を目指す各企業が、主観的に「最高の顧客体験を提供する」とした場合、最高の顧客体験かどうかを判断するのはあくまで一人一人の顧客の主観となる為、企業側の思い込みやピンポイントな特定の顧客の判断のみを対象に注力しない、客観的・俯瞰的な活動とする必要があります。
CXへの意識
ガートナージャパン株式会社の2021年6月の発表にありましたが、CXはビジネス上の差別化要素に直結している事、さらに2020年からのCOVID-19の影響により非接触型のデジタルテクノロジーの普及に拍車がかかる結果となっています。今後どの企業も顧客一人ひとりに向き合いデジタルテクノロジーを駆使して改善をしていく事が予想される為、より一層の競争力が必要です。
CXで計測したい事
CXを改善をする為には現状を知る事が必須です。該当の商品やサービスを取り巻く一連の体験から顧客が感じた満足度を計測する事でより良い顧客体験を提供する為の改善活動に繋ぐ事が出来ます。ただし、顧客満足度調査の結果と実際の顧客の行動が一致しない事も多く、「満足している」と満足度調査で回答した顧客だからといって商品購入やサービス利用を継続するわけではない現状もあります。重要なのは満足度調査における「行動ロイヤリティ」のみでなく「心理ロイヤリティ」も合わせて満足をしているかが重要です。その行動ロイヤリティと心理ロイヤリティの計測方法の一つがネットプロモータースコア(以降NPS)です。
※行動ロイヤリティ:利便性や安さ等の機能的な満足
※心理ロイヤリティ:ブランドへの共感や商品・体験が好き等の心理的な満足
CXの計測方法例:NPS
計測が難しかった「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化する計測手法です。「あなたはこの企業の製品/サービスを友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という問いを行い、0から10の11段階で評価をしてもらいます。アンケートの回答に応じて、「0〜6:批判者」、「7・8:中立者」、「9・10:推奨者」の3つのタイプに顧客を分類して、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPSです。
また、この「友人や同僚に進める可能性は?」という問いが非常に重要です。友人・同僚にオススメするには心から満足していないと出来ない(信頼関係に影響してしまう)という心理的な点から心理ロイヤリティの計測が可能です。また、通常のアンケートの「商品・サービスに満足しているか?」という問いでは炙り出せない商品・サービスには満足したが価格が高いのでオススメしないといった隠れたマイナスの心理ロイヤリティの計測が可能です。
NPSで重要な視点:カスタマージャーニー
NPSでは「あなたはこの企業の製品/サービスを友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という問いの次に、「友人や同僚への”薦め度0〜10”の点数をつける上でどの位影響していますか?」という問いを行います。
その問いの中で、広告のイメージやレビューの評価や予約・購入のしやすさや購入後の丈夫さ等、一連の顧客体験に対して顧客の感じる影響度合いを計測します。
この一連の顧客体験がカスタマージャーニーそのものとなります。入念に検討したカスタマージャーニーがあってこそ初めてNPSの活用に繋がります。より良い顧客体験を提供する為のカスタマージャーニーに対して「どのような体験が購買や継続利用に対して重要なのか」、「その重要な体験において顧客の満足度が体験は何か」という改善点をNPS結果から分析する事で、より良い顧客体験への磨き込みが可能です。各社様におけるカスタマージャーニーの検討やNPSの利活用に繋がりましたら幸いです。