カスタマーコンサルティングチームの根間 綾です。
前回は、製薬企業・医療機器メーカー様におけるコロナ禍での課題とCDP活用例をご紹介しました。
CDP活用例
実際にTreasure Data CDPを導入いただいたお客様にはご状況に合わせてカスタマイズしますが、CDP活用例の王道としては以下3つが考えられます。
- 顧客のデータ統合、KOLのインサイト抽出
- 医師のスコアリング判定、オムニチャネルコミュニケーション
- MR活動のダッシュボードによる可視化、営業活動の効率化
- 患者のPSP(ペイシェント・サポート・プログラム)の継続支援
今回は前回お伝えしきれなかった活用例3と4についてご紹介します。活用例3は「営業活動の効率化」について、活用例4は「顧客の行動可視化、ナーチャリング」についての内容になっており、医療業界以外の企業様にも参考にしていただける内容になっています。これらに課題感を感じているようでしたら、ぜひ参考にしてみてください。
課題3 MR活動のダッシュボードによる可視化と営業活動の効率化
前回の記事で書いたコロナ禍で浮き彫りになった課題①②の通り、MRは今までと同じやり方で医師へ情報提供をすることが難しくなりました。またMRと医師のコミュニケーションの機会が限られる分、今まで以上に効率的な情報提供が求められます。MRは自身が医師に提供してきた情報に加えて、製品サイトやメールの閲覧状況も把握しておくことで、より医師のニーズを満たす情報提供が可能になります。施策例を2つ挙げておきます。
活用施策1:ダッシュボードの構築
- 医師ダッシュボード:医師の基本情報・オンライン閲覧履歴・よく見るチャネルなどの顧客データと行動を紐付けて集約・可視化
- MRの活動状況ダッシュボード:MR活動日誌機能を集約・可視化
MRが日頃使っているCRMシステム上で各担当医師のデータをダッシュボードで可視化することで、MRは担当医師の基本情報・オンラインの閲覧行動を随時確認することができます。活用例2の医師のスコアリング判定結果などもダッシュボード上で確認できるようにすると、医師とのコミュニケーションをとる際のヒントとなります。また、MRの活動状況もダッシュボードで可視化することで、会社はMRの活動進捗を適宜確認することができ、個々のMRの実績や状況に基づくサポートや研修の充実、MRの育成につなげることができると考えています。
活用施策2:成績TOP層のMRの行動分析、スコアリング・体系化
- 成績TOP層のMRを抽出し、効果があったと思われるクロージング前アクション分析
- 成績TOP層のMRの行動から、MRの行動をスコアリング
かつての接触回数重視のMR活動から、情報の質や提供タイミング重視の活動に変化してきたことで、今まで以上に質の高い医師とのコミュニケーションが重要になっていきました。これはMRの力量によって成果が大きく代わり、MRの育成が喫緊の課題になってきていることを意味します。Treasure Data CDP内に蓄積したMRの活動状況を分析することで、成功しているMRのアクションを発見することができるかもしれません。得られた知見を全社のMRに横展開すれば、人材育成の材料としても活用いただけるかと思います。
課題4 患者のPSP(ペイシェント・サポート・プログラム)の継続支援
CDPは医師向けの施策だけでなく、患者向けのサービスやマーケティングでも活用することができます。製薬企業で患者を起点にしたペイシェント・セントリックな考え方が定着してきたことで、近年DTC(疾患啓発)に続きPSP(ペイシェント・サポート・プログラム)が積極的に取り組まれてきています。
PSP(ペイシェント・サポート・プログラム)は、製薬企業が企画し、医師や医療従事者・ケアサポーターやAIが患者の治療・投薬を効果的/継続的に行うことを支援するプログラムで、近年では専用アプリやLINE、医療サイトを用いてオンラインで実施できるものが多くあります。この取り組みは、患者にとっても製薬企業にとってもメリットのある取り組みとなっています。
患者側のメリット
- 主体的な治療への参加、情報収集→アドヒアランス向上
- 服薬漏れの防止→治療継続
- 家族、主治医への症状共有→闘病を支える周囲との連携・支援強化
製薬会社側のメリット
- 副作用・安全性などのデータ蓄積→新薬研究開発での活用、参照データ収集
- 患者の行動・傾向データ収集→個々の患者への適切なケア・やりとり、治療計画の改善
- 患者の定着化→他社製品へのリプレイス防止
ところが、PSPは多くの企業・疾患で取り組まれているにも関わらず、なかなか継続利用に繋がらず、ビジネスとして成果が出ていないのが実情です。下記がその成果に繋がらない要因ではないかと考えています。
- ペイシェントジャーニー、疾患の特性を考えたチャネル・プログラム設計になっていない
- プログラムを介した患者の情報収集が不十分、または情報を生かしきれていない
- 全ての患者に対して均一のコミュニケーションをとっている
このうちの要因2、3はTreasure Data CDPを活用いただくことで解決することができます。症状の重さも出方もひとり一人の患者さんで異なりますし、PSPに求めることも人それぞれです。個々人の情報を適切に紐付けて管理し、ステイタスに合わせたコミュニケーションをとることが、継続利用につながります。こちらもTreasure Data CDPの活用施策例を2つ挙げておきます。
活用施策1:対象患者のみに絞ったセグメントリストを作成し、MA(マーケティングオートメーション)へ連携する
- 薬が後7日になった患者に通院リマインドを配信
- 7日以上サービスを利用していない患者に、コンテンツを配信
- コンテンツAを閲覧した患者のみにコンテンツA関連のオフラインイベントの招待を配信
活用施策2:スコアリングにより患者のPSP活用度合いをレベル分けし、対象レベル別のコミュニケーション施策に活用する
- PSPを離脱しそうな患者をリストアップし、担当医師・医療従事者を介して積極的にコミュニケーションや状況確認をする
Treasure Data CDPにはセグメント作成やスコアリングなど、ただデータを管理するだけでなくマーケティングツールと連携してデータを活用するためのさまざまな機能があります。また、お客様のご要望や患者のような顧客の特性に合わせたシナリオビルディング等の施策支援も行なっていますので、ぜひTreasure Data CDPと併せてご活用いただければと思います。
最後に
いかがだったでしょうか。この記事を通して、少しでもCDP活用に可能性を感じていただけていたら嬉しいです。「社内のデータを統合したい」「MR活動の効率化を図りたい」「新薬上市時のマーケティング施策で活用したい」など、どんなご要望でも結構です。まずは弊社にご連絡ください。トレジャーデータではTreasure Data CDP導入支援はもちろん、データ活用に関わるデジタルトランスフォーメーション全般をお手伝いさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※個人情報の取り扱いにつきましては、お客様のポリシーに準じて協議させていただきます。本記事でご紹介した活用例は一般的なユースケースとしてご参照ください。CDPの閲覧権限で制限を設けるなどの対応も行なっています。懸念点がありましたら、担当営業までお気軽にお問い合わせください。