カスタマーコンサルティングチームの西村 啓です。
現在、Treasure Data CDP を導入されたお客様へのコンサルティング業務を担っており、サポート範囲は、導入フェーズから、実際の利活用フェーズまでとなっております。私自身は、2019年12月のトレジャーデータ入社まで広告代理店でアカウント業務、メディア業務を実施しておりました。
その中で、特に流通小売業様のご支援に携わっていた経験があり、マーケティング領域におけるデータ活用の可能性を中心に記事をいくつか連載したいと考えております。まず、第一回目と言う事から、そもそも流通小売業様の現状とマーケティング領域において、どのような事を実施しているのか?、ご説明します。連載を続けていく中で、流通小売業様におけるデジタル推進にまで、を連載記事とする予定ですので、末長くお付き合い頂けますと幸いです。
流通小売業ってそもそも・・・・
流通小売業と、一言でまとめられて語られる事が多いですが、そもそも細分化して考えていく事が前提となると考えています。
※あくまでも個人的なイメージを含んで記載をしております※
- スーパーマーケット
:生鮮食品を中心とした流通(大型店舗であれば、日雑商品・トイレタリーも取り扱う) - ドラッグストア
:主にトイレタリー商品を取り扱う流通(化粧品も扱う事が主流化し、生鮮も多い) - ホームセンター
:日雑商品、住宅関連の商品を取り扱う流通(ペット関連の商品も多い) - 家電量販店
:家電製品を取り扱う流通(不動産業を兼ねている企業様も多い) - ショッピングセンター
:複数の店舗の集合体であり、アパレル店舗が入ってくる事(不動産業が主流) - 百貨店
:ショッピングセンターと同類だが、売上中心がアパレルであり、ハイブランドを取り扱う
上記のような特徴があるかと思いますが、この線引きを曖昧になってきています。例えば、ホームセンター:コーナン様であれば、大阪市内に、女性向けの店舗をOPENしており、新たな顧客獲得と目指し、石川県に本社を持つドラッグストア:クスリのアオキ様のように、生鮮に非常に力を入れていたり、新しい魅力を持つ流通小売業様が増えているのが実情です。
逆に、既存のメインビジネスに大きな力を入れるスーパーマーケット様も存在しており、前職時代から、MD戦略や店舗戦略においては、埼玉県のヤオコー様や、価格(物量)で圧倒的なプレゼンスを出すロピア様、関西エリアで、中規模店舗戦略で勝ち抜けたと言われている万代様なども存在しています。
このような形で、各種流通小売業の線引きは非常に曖昧になっている部分もあれば、従来のメインビジネスに特化し、顧客からの信頼獲得している企業様もいらっしゃいますが、どの企業様にとっても、マーケティング戦略やデータ活用戦略は、まだまだ悩み多いと言うのが実情だと考えております。
流通小売業様のマーケティング戦略(手法)って・・・・
流通小売業様にとってのマーケティング戦略(どちらかと言うと、手法)について、どのような物が主流であるか?についても簡単にまとめてみました。
- 折込チラシ(オフライン)
:ダイエー様が半世紀以上前にスタートさせたと言われている、新聞定期購読と連携する形で
始めた価格訴求を中心とした最もポピュラーな手法
→Shufooなどのチラシのデジタル化なども一般化しており、多様化している状況 - ダイレクトメール(オフライン)
:各企業様の会員に対して、郵送でのダイレクトメールを発送 - マスメディア(オフライン)
:AEON様などの大型ショッピングセンターを保持する企業様を中心に、TVSPOTなどを実施
どちらかと言うと、売上が見込めまれるMDに連携した形で実施される事が多い - デジタル施策(オンライン)
:上記マスメディアと似た形で実施(基本は上記に記載しており割愛) - デジタル施策(オンライン)
:メールやスマートフォンアプリや、LINEなどを活用し、顧客との1to1コミュニケーションを実施
他にも店内POPや、メーカー様からの協賛など、上記から派生する形での様々なマーケティング戦略(手法)は存在しておりますが、規模の大きな手法及びメジャーな手法をピックアップしました。ここで大きなポイントとなるのが、一般人(一人の生活者)として、日々の生活をみた時に、昨今の主流であるデジタル施策での接点があまり感じられない事だと思います。そこには、大きく2つの理由があると考えています。
- 流通小売業の販売物が、基本的には、生活していく上で、必要不可欠な物となっている事
→マーケティング投資以上に、エリア(立地戦略)の重要度が高い事
(例)住宅街のど真ん中に、仮にスーパーマーケットが出来れば、自然と顧客が集まる - 流通小売業様の販売物について、メーカー側が、大規模のマーケティング投資を実施している
→新商品販売となれば、大規模マーケティング投資がメーカー側で実施され、結果として集客が可能となる。
合わせて、メーカー側も、店舗内での棚取りのために、各種流通小売業様への営業を実施する(各種卸業者=商社を通じての場合含む)
結果的に、流通小売業様の場合、恒常的なマーケティング戦略(手法)の実施が、店舗への流入ではなく、競合他社との差別化に特化した「コンテンツ」=「価格」「取り扱う商品」での勝負になりやすい形が自然と作られていく事につながります。
マーケティング戦略(手法)の最適解について
やはり、クライアント様の最終的な目的は、Treasure Data CDPを導入し、利活用する事です。その前工程もフォローが必要となる場合、クライアント様の立場として、どのような形で、支援できるのか?非常に重要なポイントとなると考えます。
まとめ
前章で記載しましたが、流通小売業様にとって、マーケティング戦略(手法)から、訴求すべきコンテンツは「価格」「取り扱う商品」であるとご説明しました。
このコンテンツを最適化された形で、確実に各家庭に届ける事ができる手法とは何か?を考えた場合、ポイントは、大きく3つです。
1つ目は「店舗で扱う商品をできる限り多く見せたい」と言う希望に添える事
2つ目は「即時性(=リアルタイムに近い)で情報を発信できる」事
3つ目が「多くの目(=ターゲット)に触れる事」になります。
この条件を担保できる手法で、最適解を考えていった場合、ある答えが見えてきます。
- TVSPOTなどのオフライン施策においては、15秒/30秒と言う制約がかかります。
- デジタル施策などのオンライン施策においても、デバイスに依存しますので、制約が発生します。
- 合わせて、制作作業を考えた場合、即時性(=リアルタイムに近い)での担保が難しい
必然的に、紙(折込チラシ、DM)の優位性が高くなり、結果的に選択肢が狭まると言うジレンマを抱えているのが、現状であると考えています。
少し補足をさせて頂くと、折込チラシの制作について、流通企業様/印刷会社様/媒体社の努力で、通常では考えられないの強力なオペレーションシステムが構築されています。
イメージ例)
100万枚の折込チラシを水曜日の朝8時に届けたい場合
前週の金曜日(PM):掲載商品確定 / 価格確定 /
前週の土曜日(AM):印刷実施 ※日曜日には印刷完了→発送
当週の月曜日(AM):媒体社到着
※上記のスケジュールですが、昨今変化している部分もありますので、あくまでもイメージとして捉えていだけますようお願い申し上げます。
つまり、デジタル施策でリアルタイムの施策は実施できても、このオペレーションに施策実施に向けた準備を乗せていく事がそもそも難しいのが実情だと考えています。
ここまで、流通企業様の全体像(前提条件)を整理しました。次回は、現状”どのような形で”データ活用を実施しているのか?あくまでも一例をご紹介すると共に、このオペレーションに対して、どのような形で、デジタル化を推進すべきか?を考えて、ご提案できればと思います。
ありがとうございました。