カスタマーコンサルティングチームの佐々木 亜衣です。
Treasure Data CDPをご利用いただいている皆様の中には、「顧客データをどのようにCX(カスタマー・エクスペリエンス)向上に活かすか」に悩みがある方もいるかもしれません。せっかく収集した顧客データをどのように活用するかという点や、またどのようなデータを収集するかという点については、最新の事例がそれほど多く世の中に出ておらず、学術的な研究がまだまだ進んでいない領域です。ただ、一部「ビッグデータの分析によるCX向上」をテーマに研究がされていますので、前回に引き続き先端研究をご紹介します。
Customer experience management in the age of big data analytics: A strategic framework
前々回 / 前回の記事で、Hanken School of Economics, Department of Marketing, CERSのMaria Holmlund氏らによるグループの、CXマネジメントと顧客データ分析の関係性 / カスタマー・エクスペリエンスとCXデータの研究をご紹介しました。今回は、CX分析について見ていきたいと思います。
CX向上のための顧客データ活用
CX向上のための顧客データ活用(2)
CX分析
データストレージ容量、コンピューティングパワー、分析手法が進歩した結果、CXデータを分析するためにBDA(Big Data and Analytics)を活用することが、一部の限定された企業にとってだけではなく、広く実現可能になってきました。BDAは、記述的、探究的、予測的、および規範的の4つのタイプに大別されます。
記述的BDA
「何が起こったのか」という問いに答えるもので、さらなる分析のために状況を記述するのに役立つツールや手法です。記述的BDAを用いることにより、CXの現状を理解することが可能です。
探究的BDA
「なぜ物事が起こったのか」という疑問に答えるものです。さまざまなビジネスや研究の仮説を検証または否定し、因果関係を判断し、望ましい効果(例:ポジティブな変化)を得るために調整可能な変数を特定するのに役立つツールや手法で構成されます。探究的BDAによりCXの診断をすることが可能です。
予測的BDA
「何が起こりうるか」という問いに答え、将来の傾向や可能性を予測するためのツールや手法です。予測的BDAにより、CXに何が起こる可能性が高いかという指標を得ることが可能です。
規範的BDA
記述的BDAが「何が起こったのか」を理解するのに役立つのに対し、規範的BDAは「何が起こるべきか、あるいは最良の行動や結果は何か」という問いに答えるものです。問題を解決するために定量的な答えを提供するのに役立つツールや手法です(例:特定のタイプのパフォーマンスを向上させるにはどうすればよいか、CXパフォーマンス向上のためにどこに予算を配分するのが最適かなど)。規範的BDAにより企業がCXを強化するための選択肢を評価することが可能となります。
それぞれの概要、活用目的、典型例について以下の表にて一覧化していますので、どのツールや手法を用いるべきか迷う場合には、ぜひご覧ください。
まとめ
今回は、CXデータをどのように分析するかについて、BDAの類型とその特徴をご紹介しました。収集した顧客データをどのように施策に活かせる形に加工するか、などのご相談については、弊社のカスタマーサクセスチームにぜひお声がけください。
出典
Customer experience management in the age of big data analytics: A strategic framework
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0148296320300345?via%3Dihub