カスタマーレプレゼンタティブチームの大屋戸 真章です。
広告代理店、MarTechSaaS企業での経験を経て、現在はデジタル広告のサービスを展開されている広告事業者様、複数の広告サービスを取り扱い、多くの広告主と取引されている広告代理店様の活用サポートを主に担当させて頂いております。前々回までは、全3回に渡って私の代理店時代に取り組んだプロジェクトでの経験を基にした、広告配信レポート管理の構築のポイントを紹介させて頂きました。
過去の記事はこちら
Treasure Data CDPを使った広告配信レポート管理システムの構築 – 事例概要 –
Treasure Data CDPを使った広告配信レポート管理システムの構築 – 事前設計 –
Treasure Data CDPを使った広告配信レポート管理システムの構築 – 運用実践 –
今回は、広告配信レポートでモニタリングしていく指標の例を紹介したいと思います。
広告運用のためのモニタリング指標
配信報告用レポート、社内KPI数値管理シートといった基本的な項目に関しては過去の記事で紹介させて頂きましたが、それに加えて実際の広告運用にも役立てる事も可能です。以下、円滑な広告運用のためのモニタリング指標の例になります。
- 広告予算消化予測
- 広告運用パフォーマンスのKPIモニタリング
これらのモニタリング指標は、通常であれば各広告サービスの管理画面を日々目視で確認し、手動でチューニングすることが多いと思われますが、これらを統一されたダッシュボード等で確認できるようにする事でその確認工数を削減でき、迅速且つ効率的な広告運用を実現する事が可能です。以下、それぞれのモニタリング指標について紹介していきます。
広告予算消化予測
日々の予算消化金額は、大抵の広告サービスのレポート元データで入力可能ですが、それとは別に、広告案件毎(案件x広告サービス)で広告発注・管理がなされているはずなので、その際に登録されている予算金額も絡めて広告予算消化予測を行います。
以下、広告予算消化予測のポイントです。
- 広告予算消化予測は、予算管理の期間で行う ※今回は月別での予算管理を想定
- 案件x広告サービスの単位で広告予算消化予測を行う
- 月内の予算消化の日別平均を割り出し、残日数での予算額の過不足を算出
この広告予算消化予測を行う事で、残日数に対しての金額消化を把握する事ができ、月内早めの予算消化を見込んでいる場合は、予算追加の検討をしなければいけないですし、月内消化ができず予算が余る想定の場合は、キャンペーンを増やす等のパフォーマンスにも配慮した日予算額を増やさないといけません。こういった動きを事前に予測しておく事で、効果的なアクションを迅速に取る事ができます。
広告運用パフォーマンスのKPIモニタリング
広告運用は、何かしらのKPI(≒目標指標)に従って日々チューニングを行なっていると思います。KPIも上記予算金額と同様に、広告案件毎で目標数値として管理されているはずですので、そのデータを利用し運用実績データと照らし合わせてKPIモニタリングを行なっていきます。
以下、モニタリング対象とするKPIの例です。
- 目標CPA・CPO : 目標の平均顧客獲得単価・注文獲得単価
- 目標ROAS : 目標の投資回収率
この広告運用パフォーマンスのKPIモニタリングを行う事で、現在の広告運用パフォーマンスの良し悪しを把握する事ができ、目標数値に至っていない場合はチューニングの方法を検討しなければいけません。こういったKPI数値の動きを継続的に監視していく事で、広告予算対応と併せて、効果的なアクションを適切なタイミングで取る事が可能になります。
閾値設定によるアラート機能の実装
上記のモニタリングから確実な対策を適切なタイミングで行うために、各モニタリング指標の閾値を設定して、アラート機能を実装していくと、より効果的な広告運用を実現できます。広告予算消化予測であれば、月内消化の可能性がある場合、消化想定日の一週間前にアラートを飛ばすよう設定しておけば、機会損失を防ぐ事もできます。広告代理店であればクライアントに予算追加の提案も可能になります。
また、目標CPAのモニタリングであれば、平均CPAが目標数値を上回ったタイミングでアラートを飛ばすように設定しておけば、数値の上振れを即座に認識でき、対策できるので、目標数値に沿ったより堅実な広告運用をしていく事が可能です。
TreasureDataCDPからBIツール等にデータ連携を行い、BIツール側で閾値設定によるアラート機能の実装ができますので、試してみて頂けると幸いです。
参考:Tableauでのアラート設定
まとめ
- 広告予算消化予測により、予算枯渇による機会損失を防止
- KPIモニタリングにより、適切なタイミングでのパフォーマンスチューニングを実現
- 閾値設定によるアラート機能をBIツール連携により実装
今回は広告運用のモニタリング指標例について解説させて頂きました。
TreasureDataCDPでデータの一時集計を行い、BIツール側でモニタリング指標の可視化、閾値設定によるアラーティングを行なっていく事で、より効果的な広告運用体制を築く事ができますので、是非本記事を参考に実践してみて頂けますと幸いです。