カスタマーコンサルティングチームの櫻井 将允です。
前回はセグメンテーションとターゲティングについてお話ししました。施策を考える際にはターゲットの理解が必要です。今回はペルソナ作成について考えてみようと思います。
ペルソナとは?
「ペルソナ」とは、
- 商品やサービスの典型的なユーザー
- ロイヤルカスタマーなど理想的なユーザー
- 今後獲得したい新たなターゲット
などビジネスを拡大する上で自社の商品やサービスを購入/利用してほしいターゲットの具体的な人物像です。
ペルソナとターゲットの違いは?
商品やサービスのユーザーを考える点では「ターゲット」も似ていますが、「ペルソナ」は詳細に人物像を設定します。具体的に1人の人が存在しているかのように、性別や年齢、居住地、未既婚・子供有無(学齢も)、職業といったデモグラフィックな情報だけでなく、1日の過ごし方や趣味、価値観、好きなものなど深く、細かく設定したものがペルソナのイメージです。(後述しますが、1人の人物を詳細に調べるというわけではありません。)この記事用に架空で作ったものなのでサンプルにはなりますがイメージとしては以下のようなものです。(例として自動車メーカーを想定)
ペルソナを作る必要性とは?
具体的な人物像を作ることによって、
- 深い顧客理解が可能
- 主観を排除できる
- 関係者間での共通理解を得られる
といったメリットがあります。
深い顧客理解が可能
先程のペルソナ例で考えた時も具体的な人物像であるが故に、どんなコンテンツやメッセージで訴求するのが良いか考えやすいと思います。その人だったらどういった反応をするか、その人になりきって考えやすくなると思います。
(ややありきたりなところもありますが)家族でアウトドアに出かけるシーン訴求や役立つ機能訴求など思いつきます。
主観を排除できる
もちろんデータをもとにペルソナを作りますので、担当者の仮説や理想像をベースにしたものではなく、事実に基づいてのものになります。そのため、商品やサービスの押し付けにならず、顧客目線のアプローチになります。
関係者間での共通理解を得られる
曖昧な人物像では関係者間で解釈にズレが多少なりとも出てきます。そうすると施策に統一感がなくなり、効果が最大化されにくくなります。具体的な人物像であれば共通理解が得られ、同じ目標達成に向けて関係者全体で連動した動きができるようになります。
ペルソナの作り方
データを集める
ここでは、
- データを集める手段
- 集めるデータの種類
について考えてみようと思います。
データを集める手段
主な手段としては以下のものが挙げられます。
- アンケート
- インタビューやエスノグラフィ(行動観察)
- 実行動データ(購買データ、Webログ、来店・商談履歴、SNSなど)を使う
- 販売員など関係者へのヒアリング
これらは定量データ/定性データに分けられるのとそれぞれメリット/デメリットがあります。以下に主なものを挙げます。
必要なデータについて、みなさんのデータ保有状況/入手しやすさにあわせて各手段を組み合わせて選んでいただくのが良いと思っています。基本的には定量データを中心とし、定性データを肉付けとして用いるのが理想です。
集めるデータの種類
ペルソナを作る上でどんなデータがあると良いのか、代表的なものを挙げます。
基本属性はペルソナの根底となる部分です。商材によってはライフステージでコミュニケーションの取り方が大きく変わるなどあると思います。行動についてはペルソナをさらに理解する上で必要な部分です。趣味や価値観は訴求する際のコンテンツやメッセージ開発に有益です。また、1日の過ごし方や接するメディア、情報源はいつ・どの手段で訴求するかのメディアプランニングに有益です。自社商品やサービスとの関係性(あれば競合との関係性)がわかれば、商品やサービスの改善点検討や新たな顧客獲得のためのトリガー抽出などが可能です。
これらの情報以外にも
- 購買データ:いつ買い物をする人でどんな商品が好きなのか?
- 位置データ:どんな場所によく行くのか、いつ外出するのか?
- サイト閲覧データ:商品・サービスの何に興味があるのか?
などがわかります。すべてを同一人物(シングルソース)で分析することは難しいですが、様々な手段とデータを組み合わせてペルソナを作ることは可能ですので是非様々なデータを扱っていただきたいと思います。
共通項を探す
集めたデータをもとに人物の骨格作りをします。1人の人を詳細に分析するのではなく、特定のターゲット(集団)について共通項を探し、人物の骨格作りをします。1人の人だけ分析することは具体的ではあるものの、似た人がどれくらい存在するのか?という代表性の観点で課題が発生します。もちろん、1人の人を分析するN1分析自体は有益です。私自身、骨格を作った後の肉付けの際に行うであったり、参考として定性的なアプローチで分析してみることはよくあります。
特定のターゲット(集団)について様々なデータをもとに共通項を整理し、どのような特徴がある人なのかを洗い出します。共通項の選び方は、基本的には男性が多いであったり、30-40代が多いであったり、その集団の多くを占める特徴を選んでいくイメージです。特徴次第ではターゲットを割って、ペルソナを複数作ることもあります。ちなみに、ターゲットが複数あればペルソナも複数作成します。
代表的な人物像を作り、検証する
共通項を整理(=人物の骨格作り)したら、今回お見せしているペルソナの例のように具体的な人物像に仕上げます。
この過程は分析者1人で行うのはあまりお勧めしません。どうしても主観が入る可能性があるので複数人で考える方が望ましいです。また、作ったらそれで終わりではなく、
- 関係者にリアリティがあるかヒアリングする
- 実際に同じような人がどれくらいいるか実行動データやアンケートで試算する
といったことを必ずしましょう。妄想になっていないか確認できます。もちろん商品やサービス、市場自体の成熟度によって顧客も変わりますので1度作ったら終わりではなく、更新していく必要もあります。
まとめ
今回はペルソナ作成についてでした。前回、有望ターゲットについてKPIなど目標から逆算すると、複数のターゲットが必要なことをお伝えしました。そのターゲットごとに具体的なペルソナを用意し、施策を考えましょう。施策に落とし込むにはカスタマージャーニーの理解が必要です。こちらはまた別の機会にご紹介しようと思います。
読んでくださってありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。