カスタマーコンサルティングチームの寺本 敬太です。
今回のCRMデータ概要では、主にBtoC向けとなりますが、CRM設計に欠かせないお客様との接点であるコンタクトチャネルの概要と設計方針を解説していきます。
コンタクトチャネルの目的整理
CRMにおける顧客(エンドユーザ)との接点であるコンタクトチャネルは多様なソフトウェア、機能があります。しかし、商材やサービス、企業理念によって顧客が重要視するチャネルが変わってきます。例えば即時性を重視するか、拡散性を重視するか、顧客体験を重視するか・・など、一昔前は電話のみだったチャネルもターゲット世代やソフトウェアの機能に応じて使い分けてくる必要があります。さらに、良かれと思ってとにかくチャネルを増やしても運用・維持コストが増大してしまい、開始は容易でも中止や撤回は難しいために選定には慎重な判断が求められます。そのため、目的を持ったチャネル設計と機能を把握して活用することが重要になります。
コンタクトチャネルの主な分類
- リアル店舗/窓口(デジタルデータ) オフラインデータとした見た場合、世代やオペレーションについては触れませんが、POSはもちろん、アプリ経由でのビーコンデータ、クーポンデータの活用など、オフラインチャネルでの来店予測、セグメント分析はもとより、オンラインチャネルと統合したデータ活用が可能になります。顧客とのオフラインを通じた接点という意味でも重要なチャネルになっています。
- WEB(ECサイト、ブランドサイト)
- 電話
- メール
- チャット
- SNS
- 手紙/FAX
- DM
今やなくてはならないWEBサイトについては、認知〜購入まで幅広く対応可能な最強のコンタクトチャネルであると言えます。CMSでのコンテンツの出し分けから、チャットやメール、電話にいたるまで幅広く他のチャネルの紹介やサポートもできる一番重要な顧客接点です。
BtoBにおいては電話窓口がないという企業も出てきましたが、BtoCやサブスクリプションを扱っている企業については、まだまだ必要になってくる事例が多く顧客との接点で重要な役割を果たしています。機能としては即時性もあり、応対品質によりますが高い顧客体験を担保できるチャネルです。しかしながら、「ミレニアル世代」「Z世代」に関してのリーチやコンタクトは低く、どちらかと言うとLTVが長い商材や、年長者向けの商材やサービス向けに変化しています。
どのような企業においても、メール窓口を設置しているところがほとんどはないでしょうか。メールについては、直接メールアドレスを公開してメーラーにのみ着信するパターン、WEBフォーム入力としてメーラー管理ソフトにて集約するパターンに大別されます。特にフォームを設置していない場合などは顧客特定やそのやりとりに多大な工数がかかってしまい顧客満足度は下がります。またデータ分析という点では整理できていないデータとなってしまう可能性が高いため、できれば一定の規格化されたフォームにてメーラー管理することが望ましいです。
昨今は、どのような世代にも有効なメインチャネルの様相になってきましたが、運用方法によりメールレスポンス(返信時間)や回答に差異が生まれ、顧客体験に効果的なチャネル=運用に依存する性質を持っているため、運用コストは加味した方が良いかと考えます。
ポップアップ型のWEBチャット、フォームやLINEなどの設置型チャットに大別されます。気軽に問い合わせができ、またほとんどのチャットツールにてAI(chat bot)による返答も可能です。
しかしながら、現状の現場運用を考えるとbotによる完全な対応ではなく、顧客の返答内容に対するスクリーニング的な使い方が有用かと思います。例えば顧客が何を質問したいのか、購入したいのかをbotにて振り分け、適切なご案内を人で実施するという前捌き的な使い方には非常に効果的です。若い世代しか使わないということはなく、中高年層にもかなり浸透してきており特にダイレクト系のビジネスモデルについては非常に良い顧客体験を形成できます。
Facebook/Twitter/Instagram/Tiktok/LINEなど、プラットフォームによりリーチする世代や属性が変化します。特に認知に大きな強みのあるチャネルです。商材やサービスのターゲットにより、顧客に直接リーチできるか、拡散性に寄与できるかなど、使い分けが必要になってきます。チャネル視点だと、パッシブサポート/アクティブサポートに大別可能です。
プラットフォームに公式アカウントなどを設置し、顧客へ認知しつつ、問い合わせ対応などのパッシブサポート。顧客がTwitterで呟いたワードを広い積極的にサポートするアクティブサポートなど、顧客とどのように関わりたいかにより機能や運用を使い分ける必要があるため、手軽に始められる反面、ブランドイメージをどう担保していくかという運用はしっかり考えなければなりません。
デジタルデータ?と思われるかもしれません。さらにはチャネルとしての活用が限定的ではありますが、手紙を自動でOCRで読み込みリスト化するソフトや、ペーパーレスFAXによるデータのクラウド保存などの機能のあるソフトがあります。そのため、既存のレガシーチャネルの活用という意味では、このようなチャネルのデータ化というのもチャネル統合による顧客体験の向上には非常に重要な要素です。
こちらも、デジタルデータではありませんが、CRMの管理として、いつ、誰に、どのようなコンテンツのDMを発送したかを管理し、また「DMを見た」お客様が購買する際にヒアリングすることによりDMについてはデジタルデータとしての管理が可能です。
コンタクトチャネルのデータの考え方
このように、ターゲットとしたい顧客のマーケティングファネル上でのステージや、顧客とどのような接点を持ち、どのような顧客体験を目指したいかという目的に応じたチャネル選定が必要になります。また、最終的には顧客がどのようなチャネルからアクセスしても、導線や内容を把握して企業として最適なご案内を可能にするというチャネル横断型の顧客体験が必要になります。そのため、資産としてのデータをストックした際にどのようなデータ活用が可能になってくるかの仮ゴール想定を行っておくとより最適なアーキテクチャを構成することが可能です。
次回は上記のような実際のゴールを設定したうえでのデータ活用方法について触れていきたいと思います。