カスタマーエンゲージメントチームの大屋戸 真章です。
広告代理店、MarTechSaaS企業での経験を経て、現在はデジタル広告のサービスを展開されている広告事業者様、複数の広告サービスを取り扱い、多くの広告主と取引されている広告代理店様の活用サポートを主に担当させて頂いております。これまでは、私の代理店時代に取り組んだプロジェクトでの経験を基にした、プロジェクト事例を紹介させて頂きました。今回は、過去に取り組んだプロジェクトの内容を参考に、プロジェクトの立ち上げからプロジェクト進行、リリースまでの例を紹介したいと思います。
プロジェクト立案から実運用開始までの進行例
上記図1が、プロジェクト立案から実運用開始までの大まかな進行例になります。大きく分けて、以下3つのプロセスに分けて進行していました。
- プロジェクト立案・要件定義プロセス
- 設計・実装プロセス
- 検証・実運用プロセス
プロジェクト立案・要件定義プロセスでは、専任のエンジニアはアサインされず、基本的には企画側のディレクターだけで要件定義・導入ツール選定を行います。要件に沿ったツールを、複数の各ツールベンダーとの商談・PoCを経て選定を行い、その過程でこのプロジェクトにおけるアーキテクチャについても落とし込んでいき、必要なツールとシステム構成を確定させていきます。
設計・実装プロセスでは、専任のエンジニアもアサインされ、本格的にシステム構築を行っていくプロセスになります。導入を決定したツールの運用を前提に、データ取得・データ加工・アウトプット内容の設計を行い、実運用に向けて開発を進めていきます。具体的な設計・実装の内容については、以下記事を参照ください。
Treasure Data CDPを使った広告配信レポート管理システムの構築 – 事前設計 –
Treasure Data CDPを使った広告配信レポート管理システムの構築 – 運用実践 –
検証・実運用プロセスでは、構築システムの運用メンバーも加えて、エンドユーザーである営業部門(ビジネス側)への提供を目指していきます。運用メンバーには作成した運用マニュアルを元にシステム運用を開始してもらい、営業部門メンバーにはマニュアルを作成しつつ、顧客向けのレポート作成等システム試用を開始してもらいます。双方の運用に問題が無いことが確認できて、はじめて実運用を開始します。
プロジェクト各メンバーの役割まとめ
上記図2のような体制で、プロジェクト運営を行っていました。システム構築のためには、どうしても実装部分でエンジニアの手を借りなくてはいけなかったのですが、それ以外のプロジェクト進行全般は非エンジニアであるディレクター側の人員にて担っていました。
もちろん、運用のためのシステムインフラの保守・運用など、システムの最後の砦としての役割はエンジニアに頼らざるを得ないのですが、自社構築の部分を限りなく少なくし、アーキテクチャの大部分をSaaSで担っていたため、貴重な開発リソースを大きく割くことはなく、非エンジニアであるディレクター側の人員の自力だけでも一定のシステム構築・運用を行うことができました。
おわりに
今回は業務効率化プロジェクトにおける進行例を、その進行プロセスの内訳とメンバー体制を交えて紹介させて頂きました。この事例では、複数のSaaSを組み合わせてアーキテクチャを組む事で非エンジニアの人員でもある程度の構築・運用ができていましたが、貴重な「開発リソース」の確保はとても難しく、こういったDXプロジェクト立ち上げに当たっては、どの会社にも立ちはだかる一つの壁だと思います。
エンジニアの協力があるに越したことはありません。ただ、それ以前にプロジェクトの要件定義や実装に向けての設計への落とし込み、システムの実運用を担うのはあくまで非エンジニアの人員であり、その部分が不十分だとプロジェクトの存在意義自体もあやふやなものになってしまうので、その土台を作った上でエンジニアも巻き込んでいく形が理想といえるでしょう。本記事が、DXプロジェクトに関わる全ての方々に、プロジェクトの立ち上げ方・プロジェクト体制の見直し等の参考になれば幸いです。