カスタマーコンサルティングチームの佐々木 亜衣です。
Treasure Data CDPをご利用いただいている皆様の中には、顧客データをどのように収集するかという点で課題を抱えていらっしゃる方もいるかもしれません。顧客との接点を持っている小売業は、顧客データを収集しやすい業態と言えます。ただ旧来のビジネスモデルでは、顧客との1対1の関係性を築くことができるほどリッチなデータ収集を行うのは容易ではありませんでした。本記事では、顧客データ収集のための先進事例をご紹介いたします。
NORDSTROM
NORDSTROMは全米でも有数の歴史ある大型百貨店チェーンです。ここ数年、NORDSTROMはデジタル・トランスフォーメーションを進め、顧客データを収集するとともにカスタマー・エクスペリエンスの向上を図っています。
オンラインサービスの構築と顧客データ収集
NORDSTROMはここ数年、オンラインでの提供商品を拡大しており、2011年以降、nordstrom.comのアイテム数を3倍に増やしています。また、2014年には「NORDSTROM rack」のECサイトを立ち上げ、アウトレット品や生産終了品を販売しています。ウェブサイトを刷新し、アイテムを増やすだけでなく、顧客が欲しいものをより簡単に検索できるように改善しています。顧客の好みのスタイルや購入履歴などの情報を収集し、これらの情報は商品のお勧めや、お気に入りのブランドが入荷した際に顧客に知らせるために使用されます。
オンラインサービスで顧客との関係性を強化するためには、顧客の好みのスタイルを把握する必要性があります。NORDSTROMでは、アプリを使って、パーソナルスタイリングサービスを提供することにより、顧客の好みのスタイルを把握することに成功しています。30分間のビデオチャットで、無料でマンツーマンのスタイルアドバイス、着こなしのヒント、お勧めの服を紹介します。顧客は商品の購入もアプリから簡単にできます。
また、NORDSTROM TRUNK CLUBという、簡単なスタイリングに関する質問(好みのスタイル、サイズ、予算)に答えると、自宅で試着できるコーディネート一式が届くサービスも展開しています。顧客は届いた商品を自宅でゆっくりと試すことができ、気に入ったものはそのままにして、残りは返送するだけ。送料、返品、交換はいつでも無料というサービスです。このサービスを通じて、顧客の好みを把握することが可能となっています。
オンラインと店舗のシームレスな体験
そんなNORDSTROMの目標は、顧客が店舗にいても、オンラインにいても、同等のシームレスな体験を提供することです。ウェブサイトとアプリの両方が在庫管理システムと統合されており、このシステムは在庫を正確に把握し、ウェブ上に表示させることで、顧客が探しているものを簡単に見つけることができます。
オムニチャネル・マーケティングを成功させるための一つの要素が、ブランド体験の場です。現代の消費者は、オンラインでの買い物を好むことが多いのですが、それでもブランドを体験したいと思っています。NORDSTROMでは、在庫を持たない代わりに、ジュースバー、ネイルサロン、裁縫師、オンライン注文用の試着室などを備えた「NORDSTROM LOCAL」の店舗を展開しています。
顧客はオンラインで商品を注文し、ローカルストアで商品を受け取り、仕立ててもらうことができるので、オンラインショッピングと店舗でのショッピングの壁をなくすことができます。オンラインで商品を注文してもらうことにより、顧客の購買データを漏れなく収集することにも繋がります。
まとめ
顧客データを収集しながらカスタマー・エクスペリエンスを向上させ、さらに顧客データを収集し、顧客との関係性を強化しLTVを向上させる。そのような循環を可能にするデジタル・トランスフォーメーションの事例をご紹介しました。どのような顧客データを収集するか、収集した顧客データをどのように施策に活かせる形に加工するか、などのご相談については、弊社のカスタマーサクセスチームにぜひお声がけください。
出典
NORDSTROM https://www.nordstrom.com/
NORDSTROM rack https://www.nordstromrack.com/
Built In https://builtin.com/big-data/nordstrom-digital-transformation
Forbs.com https://www.forbes.com/sites/blakemorgan/2019/03/26/the-10-keys-to-nordstroms-digital-transformation/?sh=3c2e715c4aa0