トレジャーデータの阪口 暁です。
今回は、各種コミュニケーション最適化の肝となるセグメント生成・管理の高度化についてお話ししたいとおもいます。 CDPの機能では、Audience Studioがありますが、より実際の活用に適した構築・運用を行うため、事前設計に重要な以下ポイントをご紹介いたします。
- CDPをセグメント生成・管理に活用する意義・目的
- 構築プロセスとセグメント要件の定義
- セグメント構成の分類・ケース
CDPをセグメント生成・管理に活用する意義・目的
よく聞かれるポイントでもありますが、セグメント生成・管理を実行する機能は、CDPだけでなくマーケティングツール(MA等)でも多く保有しています。これらの棲み分け・役割の違いとともに、CDP機能を使う意義・目的を以下のように整理しています。
上記の図のように、活用する変数(データ)や連携チャネルの多さという点で、CDPのセグメント生成・管理は、よりコミュニケーションの柔軟性・拡張性を高めることが可能と考えております。
一方で、実際のコミュニケーションシナリオの制御(セグメントに対するコミュニケーション順序やタイミング、コンテンツ等)は、マーケティングツール上で実行します。そのため、上記のようにCDP+マーケティングツールで、それぞれの役割を明確に定義し、運用していくことが必要となります。CDP機能を使う意義や目的・用途が不明瞭では、複数のツールで、それぞれがバラバラにセグメント生成・管理することになり、あまり良い状態とは言えないため、本記事を参考に頂ければと思います。
構築プロセスとセグメント要件の定義
以下の図が、一般的な構築プロセスの全体像になります。Audience Studio実装という観点だと、マスタテーブルの設計・実装となりますが、その前段階のセグメント要件の定義について解説いたします。
セグメント要件を定義するには、大きく以下を整理する必要があります。
- コミュニケーション対象・目的
- セグメント変数の洗い出し
- コミュニケーションタイミング・頻度
新規顧客に対する集客なのか、リード顧客に対する育成なのか、既存顧客に対する関係構築なのか、対象となる顧客状態のパターンを整理します。これらの顧客状態によって、セグメントに使える変数(カラム項目)の有無、粒度が異なるため、事前に明確にしておくことが必要です。
上記のコミュニケーション対象に応じて、各変数の洗い出しを行います。また、洗い出した変数に対して、“収益性やKPI・KGIの到達度”、“属性”、“行動”など変数毎に特性をラベリングし、幅出しを行っていくと、後工程で実装するマスタテーブルの要件の抜け漏れなどが少なくなります。
そのセグメントや変数を活用するタイミングや頻度を定義していきます。マスタテーブルに含まれるデータの処理頻度やタイミングにも影響する他、CDP or マーケティングツール側で制御するかの検討材料になります。
(参考)セグメント要件にあたっての整理例
セグメント構成の分類・ケース
最後に、前述の整理を踏まえて、多いセグメント変数の構成パターンをご紹介いたします。先程の重複になりますが、“収益性やKPI・KGIの到達度”、“属性”、“行動”と、各変数の統計処理により算出されるスコアリング結果などが、マスタテーブルの構成要素になるケースが多くなります。
Audience Studioを実装する際に、その後の利活用・運用において不足がないか、また自社のデータの不足がないか、などの確認にご参考頂ければと思います。
さいごに
本記事では、主にCDP機能であるAudience Studioを構築・活用する前の、前段階としての位置づけや要件を定義するポイントについて記載させていただきました。今現在、活用頂いているお客様の再構築や利用用途の再設計、これから活用を検討頂いているお客様の参考になれば幸いです。より具体的な内容は、カスタマーサクセス、またはTreasure Academyなどでご相談ください。