コンサルティングチームの矢戸 政法と申します。
このブログを読んでいらっしゃる方々は日々どういう方なのだろうと想像を巡らせながら何を書くべきかと模索していたのですが、Treasure Data CDPの機能や使い方、ツールの説明はデータマネジメントチームの方などにお任せすることにして、私は「どうやったら社内のデジタライズ、マーケティングのデジタル化が進むか?」を中心に書いてみようと思います。
例えばDXのプロジェクトの担当になったのだが上手く推進しないとお悩みの方、MAを導入したいが社内の理解を得られない方などに少しばかりのヒントでも与えられればと思います。釈迦に説法な部分も大いにあると思いますので「そんなことは分かってる!」という方は遠慮なく読み飛ばしてください。本題に入る前に少し私の紹介をさせていただくと、大学卒業後にリクルートで営業、制作の業務を経て2001年に今は懐かしき「着メロ」サイトのプロデューサーとなって以来、早20年にわたってWeb/デジタルの業界を渡り歩いております。実家が印刷屋だったりキャリアをメディアからスタートしたこともあり、創ること、伝えることを考えるのが好きだったりします。
どうすれば最も効率的に伝えることができるだろう、伝えるためのフレームはどのように創るのが良いだろう?なんてことを日々考えてます。2000年代の始めころは、まだインターネットも始まったばかりという雰囲気があり、「ケータイを使ってビジネスをやりましょう!」なんて言っても「前例がない」「収益性がわからない」といった理由でお断りされることが非常に多かったです。
20年たった今、企業と生活者のコミュニケーションはスマホが中心になり「スマホで○○をしましょう!」といった提案に耳を傾けない人もはや絶滅したのではないでしょうか。良い時代になりましたね。いや、もちろん何でもかんでも「スマホが良い」というわけではないので誤解の無いように。
今も昔も変わらない「ハードル」
しかし、いまでも「新しいことへのチャレンジ」はハードルは高く、2021年になり、コロナの影響もあってデジタライズが進んでいるというニュースを耳にする昨今でも、私が過去20年間のデジタル業界で経験したような「デジタル導入のハードル」がいまだに残っているようにも感じます。具体的には「社内の理解を得られない」「上司がなかなかGoサインを出してくれない」という「導入の際のハードル」の他にも、導入は決定したが、その後の構築の段階で社内がまとまらないケースや導入したけど活用されないといったケースが考えられます。
「単純接触効果」により目的を肯定的に理解させる
もう使い古されすぎ、擦り切れるくらい使われまくっているフレーズなので「そんなこと分かってる!」と怒られそうですが、デジタルツールの導入が「目的」になってしまっているケースはまだまだ存在するようです。デジタルツールは「手段」でしかありません。プロジェクトの最初で「目的」を明確にしたにも関わらず、プロジェクトが進むにつれ期日までに実装を完了することが目的となってしまい肝心の「目的」が薄れていってしまうようなケースも目にすることがあります。
言うまでもなく、プロジェクトを推進する方は常に「目的」を意識することが大切です。そのため、上司やプロジェクトメンバーにプロジェクトの進捗を報告する際にも「目的」を記したページを常に報告書に入れておくのが良いのではないでしょうか。単純接触効果を狙い何度も目に触れさせ、上司やメンバーの頭の片隅に「目的」を刷り込ませ、「肯定的評価」を獲得する作戦です。
他にも、新しいツールや手法を取り入れようとした際にも「また前に導入を失敗したケースの二の舞になるのでは?」というような反発にあい導入が進まないケースもあるのではないでしょうか。そのようなケースの際にも「目的」を中心に説得を試みるのが良いと思います。ツールを入れたいのではなく、会社の○○という目標を達成するための手段としてこのツールを導入するのが有効である」というロジックで説明するのです。上司も会社の方針は理解しているはずなので耳を傾けてくれると思います。
手段としてはベストか?の解
目的は共通理解としてあるにも関わらず、導入が進まない理由としては手段としてそれが最適だということを説得できていないからではないでしょうか。最適かどうかまでは分からなくても「現在取りうるベターな選択」としてその方法を選択したはずです。説得の方法としては、同業他社の事例を調査したり、業界でのそのツールの比較検討を行いPros/Consをマトリクスにして検討していたり、はたまた海外の最先端事例を紐解いて説得してみたりしているのではないかと思います。
もちろん、これらの方法も有効でしょう。しかしそれでもうまく導入が進まないとすれば、「自社に導入した時のイメージができていない」ことが原因かもしれません。自社の目的を達成するために貢献できるポイントはどこなのか、定量的にどのような効果をもたらすことが期待されるのかを明確にできれば説得は一歩前進するかもしれません。では、導入した後に期待できる効果(期待効果)を明確にするにはどのような方法がとり得るでしょうか。
デジタルツールができるのは「高度化」と「効率化」
マーケティングのデジタル化というと「デジタルを使って今まで見つけることが難しかった顧客を発掘してアプローチすることができる!」といった「高度化」の側面ばかりにフォーカスが当たることが多いように感じます。もちろん、弊社プロダクトを始めとしたCDPを導入することで未開拓の領域にいる確度の高いお客様へのアプローチも可能になります。しかし、それはそれこそ「前例のない」領域なので、CDPの導入前にどのくらいの期待効果を見込めるかを見積もるのは簡単ではありません。
方法としては同業他社の事例からの推測だけではなく市場の規模や企業が持つ会員などの数の推移、属性、Webサイトへのアクセス数など簡易に出せるデータなどを複合的に考慮する必要があります。また、単一部門だけの期待効果を検討するのではなく、企業全体、他部署との親和性も合わせた期待効果を検討することも有要でしょう。
一方、「効率化」はどうでしょうか?レポートの作業を自動化することで、レポート作成にかかっていた時間=コストが削減できるなどの「期待効果」は比較的簡単に出せると思われます。そしてそのような「浮いたコスト」を本来当てるべき「マーケティング施策検討」に当てることで更に「マーケティングの高度化」を期待できるような好循環を創ることができると期待できます。
つまり先に「効率化」にフォーカスを当てることで結果的に「高度化」をより効果的に実行することができるようになるのです。話をする順番としても「効率化」の話をして徐々に盛り上げ「高度化」の話しでクライマックスを迎えるというストーリーの方が納得を得られやすいかもしれません。
と、まとめてはみましたが、実際の現場はケースバイケースで一筋縄では行かないのが常です。一般論で語ってしまってすみません。弊社にご相談いただくケースでも中々思うように進まないプロジェクトも少なくありませんが、お客様と協力しながら一歩一歩進めているのが実情です。それでも我慢強く進めているプロジェクトは必ず光明が差す瞬間があります。次の光を見るために私も精進していきたいと思います。