様々なSaaSベンダーがカスタマーサクセスマネージャーを置いてお客様支援をしているため、一度は耳にされたことがあるかもしれませんが、「カスタマーオンボーディング」についてお話させてください。私たちSaaSベンダーにとっては、お客様のご契約の維持や拡大という文脈で語られることの多いカスタマーオンボーディングですが、お客様にとってはご自身のプロジェクトを成功に導く重要なステップでもありますので、簡単にでもご理解いただいておくと役に立つこともあるのではないかと考えております。
オンボーディングとは、元々onboardという言葉(船や飛行機などに乗る)から派生した言葉で、組織などの新メンバーの定着促進のプロセスなどを指す言葉です。SaaSにおけるカスタマーオンボーディングも同様に、新たなお客様のスムーズなサービス利用を促すプロセスを意味します。SaaSのカスタマーオンボーディングについては様々議論がされていますが、代表的な定義を見てみましょう。
Your customers are considered “Onboard”” once they get actual value from OR (in more complex scenarios) see the real value potential in – outside of the promises made by marketing and sales – their relationship with you
この定義は、カスタマーサクセスマネージャー界隈では「青本」とも言われている ”Customer Success: How Innovative Companies Are Reducing Churn and Growing Recurring Revenue” の著者である Nick Mehta 氏による定義ですが、以下がオンボーディングの重要な要件として挙げられています。
- お客様にサービスを通じて実際の成果を得ていただく(they get actual value)
- (より複雑なプロジェクトの場合)サービスの潜在的価値を理解いただく(see the real value in)
1番目に挙げられているように、実際にサービスを通じてビジネス成果をあげていただくところまで達成出来ている状態が理想的な形ではありますが、2番目に述べられているように少なくともサービスを理解し、そのサービスからどのようなビジネス成果を、どのように得ていただくかを理解いただき、体制を整えることがオンボーディングの重要な要件とされています。
Treasure Data CDPのようなSaaS製品の場合、お客様自身がサービスを利用して上記を実現いただくというのが非常に重要であり、たとえサービスを通じてビジネス成果を得たとしても、それがベンダーに任せきり、パートナーに任せきりでは継続的な成果を得ていくことは出来ません。また、プロジェクトのスケジュールにしたがって、当然オンボーディングに許される期間も決まってきます。サービスの性質にも依りますが、3ヶ月〜長くとも半年以内に上記の条件を達成するのが望ましいとされています。
トレジャーデータにおきましても、お客様が実際にTreasure Data CDPを使ってビジネス成果を出していただくことはもちろん重要だと考えていますが、継続的にどのような成果を生み出せるか、そしてその成果をどのように出していくかを理解いただき、実際にその体制を作ることをご支援することが重要だと考えています。
Treasure Data CDPの製品自体の理解や技術的な知見、データ活用やDXへの理解、プロジェクトの進め方、プロジェクトに必要なリソース・メンバーの調達など、オンボーディングにあたって必要となることは多岐に渡りますが、トレーニングのご提供や事例のご紹介、パートナーのご紹介、コンサルティングサービスのご提供など、全般に渡ってご支援出来るよう準備をしております。なお、ご支援の具体的なプロセスや内容については、他の記事やプロジェクトでのお打ち合わせの場にてご紹介いたします。
また、Treasure Data CDPのプロジェクトはお客様によって進め方が大きく異なりますので、オンボーディングの進め方やスケジュールもそれぞれのお客様のスケジュールやご要望に合わせて実施いたします。どのように進めるかにつきましては、プロジェクト開始時にご相談にて決定し、お客様がご自身でプロジェクト推進出来る体制づくりと共に、スケジュール上のマイルストーンを達成出来るよう、ご支援いたします。