本記事は「CDP」という言葉に明確なイメージをお持ちでないCDP初心者の方向けに、トレジャーアカデミーが実施している「はじめてのCDP」セミナーの内容をビデオを中心に編集した「特別コンテンツ」になります。
3-1. 【インプット】CDPにおける「データ収集」について
前回CDPにおけるデータ収集は、言ってしまえば「あらゆるデータを集めてこよう」というものなのですが、
- まずは散財する顧客データをとにかく集める
- 外部データは、自社の顧客の情報を拡張するために集める
という「顧客のため」というCDPのコンセプトを失っていないことを解説しました。今回は、散財するデータの収集は大きな負担を伴うものですが、CDPの側でいかにそれを和らげる工夫をしているのかについてビデオで解説していきます。
まとめ
データソースが異なれば認証情報やデータ収集の流れが異なってきますが、(Treasure Data)CDPでは(UI上ではウィザード形式による)統一的な収集手段(コネクタ)を提供することによって、迷うことなくデータを収集することができるようになります。
3-2-A【内部処理】CDP における「データ統合」について
ここでは必ず行うべき内部処理である「データ統合」について詳しく解説していきます。
まとめ
顧客データを収集しただけでは、個々のデータが独立であるため、顧客の持つ情報(プロファイル)を統一的に参照することができません。データ統合は、異なるデータをさまざまな顧客識別子を使って紐付け、統合するための非常に重要な内部処理です。
例えば、Aさんという人を示す識別子は「名前」や「メールアドレス」だけではなく「Cookie ID」や「広告識別子」など様々なものがあり、データが違えば、Aさんを示すこの識別子も異なってきますので、Aさんはその異なる識別子においてどれとどれが一致するのかという「マッピング作業」を行う必要があります、これがデータ統合です。これによって、全ての異なるデータが顧客一人ひとりに紐けることがき、データを横断して情報を参照することができるようになります。また、データ統合という作業は多大なエンジニアリングリソースを消費する、決して簡単ではない作業でないことを、CDPに関わる全ての人は理解しておかないといけません。
3-2-B【内部処理】CDP における「顧客情報拡張」について
次に必要になる内部処理が「顧客情報拡張」です。これは統合されたデータに対して行っていくもので、元のデータ群にはない新たな情報を分析・予測・カスタマージャーニー構築などによって生み出していく作業になります。その必要性についてビデオで力説しています。
まとめ
統合されたデータ自身も価値は大いにありますが、それをインプットにして(データが統合された後だからこそできる)分析・機械学習・カスターマージャーニー作成などを行うことによって、さらに顧客情報を拡張することができます。
それによって得られる顧客情報は、例えば
- 「興味のあるカテゴリ」
- 「(定義した)カスタマージャーニーのどのステージにいるか」
- 「次のステージに進んでくれる見込み(確率)はいくらか」
- 「次に購入してくれそうな商品は何か」
のようなものです。この拡張された顧客情報をもとにマーケティング施策を考えたりターゲットにすることによって顧客のインサイトをより深く知ることができるようになり、従来よりもマーケティングの幅と質が広がっていくのです。
3-3. 【アウトプット】CDP における「施策連携」について
CDPのアウトプット先は非常に特徴的です。一般的なアウトプット先と呼ばれるBIツールや可視化ツール(分析やれポーティング用途)にとどまらず、さまざまな「マーケティングツール」に至ります。CDPではマーケティングツールへのアウトプットを「連携」と読んでいますが、それが具体的にどういうことかを見ていきましょう。
まとめ
CDP は様々なマーケティングツールと連携し、施策を実行していくことを主なアウトプットに掲げています。具体的には、各種マーケティングツールに必要な施策の「ユーザーターゲットリスト」これを CDP の側で作成してマーケティングツールに配信します、これを CDPの世界では「連携」という呼び方をしています。もちろんマーケティングツール自身もこのターゲットリストを作る機能があるのですが、これらを一貫して CDP の側で行い、ツールに渡すことでCDP とマーケティングツールの役割を明確にし、ここの性能を最大限に活かすようにしています。
(前回の繰り返しになりますが)重要なことは、CDP自身はマーケティングツールの機能を持っていないことです。メール配信、広告配信、プッシュ通知、オートメーション、これらの機能を自身で持たない代わりに、あらゆるツールと連携できる柔軟性と、CDPの中の莫大な顧客情報を元にあらゆるターゲットリストを作り出すことのできる柔軟性を提供しているのです。
最後に
今回までで、CDPの全体像を理解するための記事が終了となります。CDPの言葉の解像度は上がってきましたでしょうか?よりCDPを深く理解するためには、今後はDMPやMAやCRMといった他のマーケティング用語と違いを明確にする必要があります。同僚から「CDPとMAはどう違うんですか?」と尋ねられた時、明確に即答できるようになることを目指します。
はじめてのCDP – 前編:CDPの全体像を理解しよう –
はじめてのCDP – 後編:CDP周辺のマーケティング用語を理解し、立ち位置の違いを理解しよう –