カスタマーコンサルティングチームの寺本 敬太です。
昨今CDPの活用に伴い、広告データだけでなくCRMデータ活用も企業にとっては重要な要素になってきており、その中でも特にコンタクトセンターのデータについてどのような活用ができるのか、システム構成に応じた理解の一助として、今回はCRMデータの中でも特に関連性の高いCTIとCMSのデータ概要について紹介していきます。
コンタクトセンターについて
一昔前までは電話の受付対応が主流だったためコールセンターと呼称されていましたが、ここ10〜15年でインバウンドでは電話以外のメール・チャット・アプリなどの顧客チャネルにて対応するマルチチャネル化がもはや当たり前となってきたためコンタクトセンターと呼ばれるようになっており、コストセンターとしてではなく顧客のデータを蓄積し発信できる部署として顧客とのタッチポイントへと再構築している企業が多いです。
また、チャネルに依らないアウトバウンド領域においては顧客リストを上から下までタッチするというオペレーションは既にCV効果を無くしており、逆に顧客の離脱を招くマイナスブランディングとなっているケースも散見されます。顧客に適したチャネル・時間・対応でのタッチポイントの創出はコンタクトセンターのデータ活用はマーケティングにとっても非常に重要な要素となっており、具体的なデータに基づかないオペレーションでは工数が増大するためシステムやセンター構成に応じたデータの把握は必須だと思われます。
しかしながら、顧客のデータ活用についてはどの企業も非常に苦労しているところです。データ統合を設計し活用できれば理想的な顧客体験(CX)を実現できますが、コンタクトセンターのデータと、マーケティングデータがシステム構成的にも部署的にも分かれている企業が多く、データハブとなるサービスも少ないため、担当者レベルはもとより企業レベルでの構成設計やスコープ整理の難しさからデータ統合が足止めになっている企業が大変多くあります。
次項からは、具体的なシステムの説明をしながらデータハブとしてのCDPにどのようなデータが入ってくるのかを整理していきます。
CTI(Computer Telephony Integration)とは
コンタクトチャネルの主流がメールやチャットへ移りつつあるとはいえ、電話窓口がある企業はまだまだ多く、CTIとは簡単に言うと”PCと電話を繋ぐシステム”と捉えられます。例えば、顧客の電話番号をもとにPCの顧客DBから顧客を自動検索しポップアップさせるCRMとの連携機能であったり、通話録音や顧客にあわせた窓口の変更、自動音声案内(IVR)機能などPCと電話を繋ぐシステム群の総称です。
そのため、CTIに蓄積できるデータとしては、顧客の電話番号やオペレーターIDから、誰が・いつ・何時間通話をしたか、電話対応後のログ記載や注文対応の処理に何時間かかったか・・などを図るための電話にかかわる部分のデータがぎっしり詰まっています。もしCTIデータだけで分析をする場合、顧客に対してだけでなくセンター内部の改善活動のコスト削減や受電キャパシティ向上などに有効と思われます。
他のアドテクと同様、旧来はオンプレ型のみだったがクラウド型もかなりシェアを広げているため、センター規模や構成にあわせたシステム構成はもちろんの事、他のチャネルやシステムと容易にデータ統合が可能であるという未来はしっかり描きたいところです。
CRM systemとは
CRM system(Customer Relationship Management system)顧客管理システム。一般的な顧客データが入っているシステムの事を指しますが、Avaya社のCMS(Call Management System)と呼称したりすることもあります。シェアが大きいため紛らわしいですが製品名と機能は同義です。
顧客データとは下記の項目があり、CTIと紐付ける際は電話番号を共通Keyとして扱うのが一般的です。
- 顧客情報(デモグラ/個人情報)
- 顧客番号
- 対応履歴(オペレーション履歴・対話履歴)
- オペレーション情報(受発注や変更)
- 対応フラグ(対話履歴に応じた顧客からヒアリングした内容など)
なお、顧客との対話ログや顧客情報などが詰まったシステムであるという認識で問題ないのですが、CRM systemには前項のCTI機能が含まれている製品も、含まれない製品もあるため一口にCRMのデータと言っても製品機能により取得可能データは違ってくるため、構成をしっかりと把握しておく必要があります。
また、CRM systemと連携せずにメールやチャットなどのチャネル別でしか保持していない顧客データなどがある場合もあります。
- 電話 オンプレ型
- メール オンプレ型
- Webチャット クラウド型
- LINE クラウド型
例えば上記のように各チャネルに応じて、オンプレとクラウド環境が混在している事がほとんどではありますが、それぞれのチャネル対応データについてはチャネルのDBに入っているためお客様がチャネルを横断した際の対応が追えないケースが多いです。その場合、オペレーターが手動でCRM systemに入力していることが多く工数としても実際の顧客行動を追う上でも大きな障壁になっています。このように、現状のCRM systemの構成によってはサイロ化されたデータ統合はもとより、お客様のチャネルを横断した行動がリアルタイムで把握できない事は顧客体験の悪化とコンタクトセンターオペレーターの工数増加を招いてしまい、CSやESの観点でも大きな課題です。
Treasure Data CDPでは顧客の行動データをCDPに格納・収集してリアルタイムに把握する機能として、ADL(Active Data Layer)という機能があり、今までのCDPでは難しかったチャネルを横断したデータ連携のリアルタイム処理と、多数のオペレーターによる顧客行動/ペルソナなどの同時参照が可能となっており、マーケティングにおけるCDP活用だけでなくCRM systemの一部としても大きな活用が期待できます。
まとめ
CRMデータの活用にあたっては具体的にどのような顧客データが入ってくるか、またコンタクトセンターのシステム構成はどうなっているか、チャネルデータは統合されているのか、リアルタイムな参照は必要かなどCDPを活用する際のイメージをしっかりと把握したうえで、新規獲得や既存顧客育成、またはセンターの生産性向上やコスト削減に向かうなどのスコープ整理を含め、CRM system構成とそれぞれの機能をしっかり理解する事が重要です。