カスタマーコンサルティングチームの安藤 航平です。
前回の記事ではメルマガやLINE、DMなど多様化するお客様とのコミュニケーションにおいて、CDPのデータ基盤やAudienceStudioを活用して、お客様に届けるメッセージを最適化していくための方法に関する概要をご説明させていただきました。今回は詳細編として、取得・連携した顧客データを活用し、どのようにセグメント・シナリオを設計していくのか、具体的な進め方をご紹介させていただきます。
この記事でわかること
- CDPを活用しお客様への配信シナリオを最適化するためのプロセス全体像
- 配信シナリオを構築するためのステップと具体的な設計方法
シナリオ設計〜運用までのプロセス
前回の記事でもご紹介した通り、多様化する顧客接点でお客様とのコミュニケーションを成功させるためには「お客様の状況・ニーズを理解し、適切な内容のメッセージを届けること」が大切です。そしてお客様ごとに適切なメッセージ・タイミング・チャネルを検討するために、以下のプロセスが必要になるとご説明させていただきました。
Step1;お客様を理解する
配信対象となるお客様がそれぞれどんな状況なのか、どんなニーズがあるのかを把握するために、参考となるデータをリストアップし、CDPなどの基盤を活用して顧客データを取得・連携していく。
Step2;お客様に合わせて適切なシナリオを作る
必要なデータが揃い、お客様の情報を複合的に見れる環境を整えた上で、次のステップではお客様ごとの状況やニーズを分析・把握し、それに合わせてコミュニケーション目的と、細かい配信条件を設定していく。
Step3;配信→分析改善→リスト改善のループでシナリオを最適化する
最後のステップでは、配信ごとの目標値(KPI)を設定や、定期的な事後アンケート調査の実施など、企業目線でのお客様理解の整合性をチェックできる環境を設定した上で、配信ごとに結果分析を行い、次回配信に向けてシナリオ内容を微修正していく作業を行っていく。
お客様に合わせた配信シナリオの構築方法とは?
上記Step2にて、集約した顧客データを統合・利活用し、お客様ごとにシナリオを作成すると述べましたが、実際には具体シナリオが出来上がるまでに以下のようなプロセスを消化することで、より体系的なシナリオ設計・運用が可能になります。
「集約した顧客データを使っていきなり具体シナリオを検討」という進め方はよく見られがちですが、このパターンの課題として作成シナリオに明確なルール・定義が無いため、シナリオ案が属人化しやすいことや、評価指標が明確に定まらない、などが挙げられます。
そのため上記図で示した通り、まずセグメント・シナリオの各条件要素を洗い出し、同要素のラインナップを確定させたベースリスト、いわゆる「シナリオ早見表」を作成することで、シナリオ作成、及び評価指標のルールを明確化しておきます。その上で、同リストに基づき具体シナリオを作成することで、各条件の設定理由や、配信後の施策評価に基づく次回シナリオ案の改善PDCAを体系的に運用することが可能になります。以下がシナリオリスト(早見表)を作成するための具体的な検討項目になります。
上記の検討項目に沿って、以下のような具体条件要素の洗い出し・検討を行っていきます。
洗い出した各条件について検討を行い、要素を確定させた上で、ベースとなるシナリオリストを以下のようなイメージで構築していきます。
上記のベースシナリオリストに沿って、配信テーマごとに具体シナリオの作成、目標KPIの設定を行い運用していくことで、体系的なシナリオ作成〜運用改善が可能となります。
いかがでしたでしょうか?膨大なチャネル・ツールが存在する現代のマーケティング環境においては、多くの企業担当者が「お客様に沿った1to1シナリオを配信すること」を重視してしまいがちです。しかし、まずは御社が提供するサービスやコミュニケーションの目的を整理し、お客様の持つ様々な特徴をラインナップとして把握・ルール化した上で具体的なメッセージを構築することが、顧客理解を深め、適切な内容・タイミングのシナリオを届けるためのポイントだと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。