プロフェッショナルサービスチームの小谷 将来です。
私からは数回に分けて、BtoBマーケティングにおけるCDPの活用方法の事例やポイントを紹介しようと考えております。これからBtoBマーケティングにおけるデジタル活用をご検討される方、まさしく今実施している中で様々な課題と向き合っている方に向け、少しでもご検討に役立つ情報を提供できればと思っております。
トレジャーデータのクライアントの多くは、BtoCマーケティングのビジネスモデルを持つ方々です。一般消費者向けの情報は数が多く、ビッグデータの受け手であるトレジャーデータの得意領域であるからです。しかしながら、昨今の情勢を見ると、BtoBマーケティングのデジタル化、高度化の支援をするプロジェクトが増加傾向にあります。対企業においても、顧客情報の詳細に捉えることが出来るようになり、それらを活用するための企業の動きが出てきたことが要因だと思います。本記事においては、まず、BtoBマーケティングにおける業界の変化と目指す姿について、お伝えさせていただきます。
BtoBマーケティングにおける業界の変化
前述した通り、対企業においても顧客情報を詳細に捉えることができるようになりました。それは、BtoBマーケティングの業界におけるいくつかの変化が要因と考えます。
1つ目の変化は、「顧客サイドの情報収集力の飛躍的な向上」です。
各企業においては、それぞれの努力によって、様々なコンテンツが日夜、配信されております。顧客の購買意欲を促すためのWebサイト改善、定期的なメールマガジンの配信、動画による商品解説等と、多種多様です。(本記事もまさしく該当します。)このことで、受け取り手の企業担当者(顧客)は、社内の与えられた業務に対して、色々な情報を、その場で複数企業から取得することができます。結果、自らで比較・検討をすることが出来、営業活動を行う前に既に決着がほぼ着いているのが現状です。
2つめの変化は、「コロナによる社会全体の環境変化」です。
皆様も体感しているとおり、コロナにより大きく社会全体の動きが変わってきました。その中でも特に変化が大きいのがデータ量の増大(通信量は直近2年で2倍に増加*1等)しています。これは、テレワーク推進によるインターネット利用の増加に伴うものであり、企業活動が対面からオンラインへと主軸が移っているのが見て取れます。
BtoBマーケィテングにおいても、比較・検討から購買に至るまで、オンラインで完結する企業も少なくありません。これらの活動は、基本的に全てデータとして蓄積することが可能です。一方で扱う側としては、どのように活用すれば良いのか難しいものも多々存在します。
3つ目の変化は、「”デジタル”による課題解決の台頭」です。
コロナによる社会環境の変化をする以前より、デジタルを活用したビジネス課題の解決は注目されていましたが、所謂DXプロジェクトはトライアルの色合いが濃く、成功前提でビジネスを組み立てられないことがありました。別の記事でも触れましたが、DXプロジェクトの約8割は失敗しているのです。
ただ、これらは、既に過去の話になってきました。1つは知見の集積、1つはビジネスと直結した必須の課題として取り扱われるようになってきたからです。すなわちデジタル活用の波は前提として考える必要があり、BtoBマーケティングにおいても同様のことが言えるからです。
BtoBマーケティングが目指す姿
環境の変化に対応する上で、BtoBマーケティングはどのような姿を目指せば良いのでしょうか?重要なのは、「コミュニケーション設計」と「小回りの効く実行態勢」の2点です。マーケティングをするにあたって、データを用いて戦略を立てるのは基本です。ただその中でも取り分け意識すべきは、「自社にある全て」の「整合性が取れて、言葉の定義に揺らぎがないデータ」を準備できているかが出発点になります。
各部署で眠っている情報や人によって捉え方が違っている言葉(情報)があると、それだけで立てる戦略の精度が極端に下がります。コミュニケーション設計に基づき、必要なデータの整備や施策の検討を進めていくことが、最も効果的なマーケティングを可能にすると考えます。
また、BtoBマーケティングは、マーケティングプロセスの断絶や情報の不透明さがBtoCと比べ発生しやすいです。それは対企業という性質上、特定部署の権限が強く、衝突を避けるために各部署が独立した施策を展開をしてしまうことや、顧客サイドの検討期間が長いため、顧客情報の更新が手間となり正確な情報が他部署に伝わらなかったりするためです。これらを解決するためには、『マーケティングプロセス x 顧客セグメントごとに最適化されたコミュニケーション設計』が必要不可欠です。
[コミュニケーション設計の高度化イメージ]
加えて、上記のコミュニケーション設計に基づく戦略の実行を、「小さく」「早く」「繰り返し」実行できるサイクルを構築することが重要です。デジタル活用において、小さな失敗は後の成功に繋がりますが、成功前提での態勢作りは、大きな失敗に繋がります。少なくとも下記で示した施策検討プロセスを2〜3ヶ月で回すのが理想です。
[BtoBマーケティングにおける施策検討のプロセス例]
まとめ
BtoBマーケティングは、「顧客サイドの情報収集力の飛躍的な向上」により、従来の営業活動への変化が求められています。さらに「コロナによる社会全体の環境変化」によって、より一層変化への助長がされており、早急な「デジタルによる課題解決」が必要となっております。
BtoBマーケティングにおいて、変化への適応を図るためには、マーケティングプロセスと顧客セグメント毎の「コミュニケーション設計」を行い、より一貫性のある戦略策定が必要となります。また、その戦略をスピーディかつ効果的に行うために、「小さく早く実行できる態勢」づくりが急務となります。
次回は、具体的な課題の深掘りとCDP活用におけるポイントをご紹介させていただきます。ここまでのご拝読、ありがとうございました。
出典
*1…総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 データ通信課
我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算 2021年5月のトラヒックの集計結果
https://www.soumu.go.jp/main_content/000761096.pdf