カスタマーレプリゼンタティブチームの四柳 裕識です。
本記事ではカスタマーサクセスチームで利用する予定のモニタリングダッシュボードについての説明を通してサイロ化したデータの集約によるメリットの一端をご紹介いたします。
ダッシュボード作成の背景
現在、ビジネスを行うにあたって複数のツールを活用することは一般的であり、会社が保有するデータが集約されずに各サービスやデータベースに点在している状況が多くみられます。そのような状態では、各データの関連性の見落としや単純な確認ミス、煩雑さからそもそも見る気がない社員(営業推進部門の悩みの種)などが発生してしまいがちです。
我々カスタマーサクセス担当がお客様の活用をサポートさせていただくにあたり、ご利用状況やご契約内容を把握することは重要です。しかし、そのためには様々なサービスを利用する必要がありました。
- 契約情報 – 某帳票管理システム
- 利用状況(概要レベル) – Looker(データソースはシステムログから利用)、某帳票管理システム上に埋め込まれたTableau Online
- 利用状況(Job、メモリ状況など) – Datadog
- コスト情報 – Slack、Spread Sheet
- サポートチケット – サポートチケット対応時にメールが送信されるのでそれを確認
これらのデータへより簡単にアクセスできるようになることは、カスタマーサクセス担当の利便性向上、お客様への細やかなサポートへもつながると考え、ダッシュボードの作成を開始いたしました。
どのように作成するのか?
今回作成するダッシュボードはカスタマーサクセスがご契約企業様の状況を把握するためのものです。どのようなダッシュボードが必要なのかを実際に利用するチームのメンバーにヒアリングした結果、ダッシュボードの目的は利用状況の推移をモニタリングすることになりました。
具体的には以下の項目の可視化を行うこととなりました。
- 契約情報
- 利用状況 – 各指標の月別推移
- 解約予測(マシンラーニング)
- コスト状況
また、各カスタマーサクセスが自分の担当しているご契約企業様の契約に対する超過状況や利用状況などを確認することができるよう一覧表も作成するため、月単位で契約情報が参照できるテーブルも用意します。
必要なテーブルが確定したら、それらを各ソースからトレジャーデータが保有するCDPに集約してテーブルを作成します。今回のプロジェクトにはダッシュボードを作成する私の他に、データベースやテーブルの作成を行うエンジニア2名が参加しました。彼らにはこのダッシュボードの目的やゴールをミーティングで事前に伝えていたため、依頼事項に対して、「こういうデータも使える」「こういうテーブルを作成してはどうか」などエンジニア目線の提案をしてくれました。
テーブルの構築にあたり、必要なデータの多くは既にTreasure Data CDPに格納されていました。本製品の特性上、データはtimeカラムで時間毎のパーティションが切られているため、こちらを活用して集計を行いました。また、データの集計するにあたって、BI上のフィルターとして使えそうなカラム(例えばCS担当者名、アカウントのユニークIDなど)を起点にしつつテーブル間の関係性を意識しながら集計用のテーブルを構築していきました。
定期的な集計処理を行うためにWorkflowも作成しました。前述のtimeカラムを使って前月分のデータを抽出するようなクエリを使いながらスケジューリングを組み、それを月次で稼働するようにしています。ただし、月次のワークフローは過去のスケジュール分は遡ることが出来ないため、その場合はworkflowの実行時に指定したsession timeを使って動的に遡ることが出来るようにしています。これを使うことで、複数のクエリを一括で遡って実行することが可能となり、過去データも含めた集計を行うことができます。
実際にできたもの
上記の作業を経て、作成完了したのが以下のダッシュボードです。他の業務と並行して行っており、作成に要した期間は3ヶ月程度です。
お客様の利用状況で、サクッと見たい情報を一覧化したダッシュボード。カスタマーサクセスごとにフィルタが可能で、さらに、お客様のレコードをクリックすると、以下のダッシュボードにフィルタがかかった状態で遷移します。
このダッシュボードの今後に関して
このダッシュボードは、各担当のフィードバックをもらいながら定期的にアップデートを行っていく予定となっております。すでに決まっているアップデート内容は
- サポートチケットの可視化
- 解約予測のブラッシュアップ
- サポートドキュメントのアクセスログ連携
などです。
もし、社内のデータを集約したダッシュボードを作成したい場合は、ぜひカスタマーサクセス担当までご連絡くださいませ。